【研ぎ】サビだらけの柳刃包丁も復活!曲がりや欠けを考慮した「実用修理」の話
いきなりですが、皆さんは家の倉庫や台所の奥で、「サビだらけになって眠っている包丁」はありませんか?
「もう錆びてるし、捨てちゃおうかな…」
そう思う前に、ぜひ一度当店にお持ち下さい。
まずは、お持ちいただいた状態がこちら。

一見すると「サビを落とせばいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、実はこの包丁、かなり重症です。
見えてきた問題点
お預かりした時点で、以下のような症状が出ていました。
- 深いサビ(裏側が特に酷かったですが刃先に小さな穴が開くほど)
- 「鎬(しのぎ)」の消失(和包丁の特徴的な角がなくなっている)
- 「裏スキ」の消失(裏面の窪みがなくなり、食材が張り付きやすくなっている)
- 刃先が丸まっている(+αで鋼が出ていない)
- 全体的な曲がり(クネクネと歪んでいる)
正直、これらを全て「新品同様」に戻そうとすると、手間賃だけで新品が買えるくらいの金額になってしまいます。
何より「修理中に折れるリスク」が出てきます。
という事で今回の研ぎの目標は、職人さんが毎日使うわけじゃないし、完璧じゃなくていい。
その代わり、安くて長く使える『実用的な研ぎ!』
【処置】「家庭用」に特化した現実的な修理
今回は「年に数回使うご家庭用」とのことだったので、以下の判断で作業しました。
- サビ・穴への対処:
表面のサビは綺麗に落としました。ただ、刃先の細かい穴(ピンホール)は、消そうとして削りすぎると包丁がペラペラになってしまうため、「実用に問題ないレベル」でストップさせています。寿命を縮めないための判断です。 - 曲がり・裏スキ:
全体的な歪みを無理に直そうとすると、サビが深く入っている+金属疲労で「パキン!」と折れる危険があります。
まぁ正直普通の家庭で使う分には問題ない曲がりなので、今回は無理に直す事はしません。
※追加で費用が掛かるので使ってて気にならなければそのままでもOKです!
裏スキの再生は、正直当店では手に余るのであまり手を付けずに最低限の刃だけ付けるようにしました。 - 刃の厚み:
薄く鋭くしすぎると、使った時に欠けやすくなります。
なので、少し厚みを残して、段刃に近い仕上げにして耐久性を重視しました。
ついでに鋼が完全に被って全く出ていなかったのでしっかり出しておきました!
【結果】見た目は「歪み」があるけれど、切れ味はバッチリ!
そして、仕上がりがこちら。

写真だと分かりにくいですが、包丁自体が曲がっているため、新しく削り出した「鎬(しのぎ)のライン」も少しフニャフニャと波打っています。
見た目は「工芸品のような美しさ」とはいきません。
でも、切れ味は抜群です。
家庭でお刺身を切る分には、全くストレスなくスパスパ切れます。
まとめ:使い方に合わせた「ちょうどいい修理」をします
今回の料金は、訳ありモニター特価で2,000円でした。
(※状態や作業内容で価格は変わります)
当店は常に完璧を目指している訳ではありません。
大事なのは「持ち主が、気兼ねなく楽しく使えること」だと思っています。
「ボロボロだけど、これ直す価値ある?」
「予算はかけたくないけど、使えるようにはしたい」
そんな正直なご相談、大歓迎です。
あなたのスタイルに合わせた「ちょうどいい落とし所」を見つけて、研ぎ直します!
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この赤マルの部分が曲がっている箇所です…
上手く砥石に当たらないので筋がフニャフニャしてます…


